手軽で便利な移動手段として、街中で見かける機会が急増している電動キックボード。
しかし、その手軽さとは裏腹に、保険のルールが大きく変わったことをご存知でしょうか?
「自転車みたいなものだから、保険は入らなくても大丈夫でしょ?」
「たくさん種類があって、どの保険に入ればいいか分からない…」
もし、あなたがこのように考えているなら、少しだけこの記事にお付き合いください。
2023年7月1日の法改正により、電動キックボードの保険加入は一部義務化され、ルールを知らないまま公道を走ると、法律違反になってしまう可能性があるのです。
この記事では、電動キックボードの保険に関する複雑なルールを誰にでも分かりやすく解き明かし、万が一の事故に備えるための最適な保険選びを、専門家の視点から徹底的にサポートします。
この記事を読み終える頃には、あなたにピッタリの保険が見つかり、安心・安全な電動キックボードライフをスタートできるはずです。
この記事でわかること
- 電動キックボードに義務付けられた「自賠責保険」のすべて
- 自賠責保険だけでは絶対に足りない理由
- 【プロが厳選】2025年最新のおすすめ任意保険
- あなたの使い方に合った保険選びの重要ポイント
- 万が一、事故を起こしてしまった時の正しい対応
【結論】電動キックボードは「自賠責保険」が義務!「任意保険」も必須です!

電動キックボードの保険ルール・早わかり
- 自賠責保険:加入が法律で義務付けられている(必須)
- 任意保険:加入は任意だが、入らないと非常に危険(強く推奨)
まずはこの2点を必ず覚えておいてください。
特に、法改正で追加された「自賠責保険」への加入義務は、電動キックボードに乗る上での大前提となります。

えっ!?電動キックボードって、バイクみたいに自賠責保険に入らないといけないんですか?知らなかった…

そうなんです!2023年7月1日から、特定の条件を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」という新しい区分になり、自賠責保険への加入が法律で義務付けられました。これに違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
なぜ義務化されたの?「特定小型原動機付自転車」とは
法改正によって新設された「特定小型原動機付自転車(以下、特定小型原付)」は、以下の条件をすべて満たす電動キックボードを指します。
| 項目 | 基準 |
|---|---|
| 車体の大きさ | 長さ190cm以下、幅60cm以下 |
| 最高速度 | 20km/h以下 |
| 定格出力 | 0.6kW以下 |
| その他 | 最高速度表示灯、ウインカーなどが保安基準を満たしていること |
現在、日本国内で正規販売されている多くの電動キックボードが、この「特定小型原付」に該当します。
そして、この特定小型原付は、法律上「原動機付自転車(原付バイク)」の一種として扱われるため、自動車やバイクと同様に、公道を走行する際には自賠責保険(共済)への加入が必須となったのです。

加入までの簡単2ステップ
- ナンバープレートの取得:
まずは市区町村の役所で、ナンバープレートを無料で取得します。 - 自賠責保険の契約:
コンビニや保険会社のウェブサイトから、ナンバープレートの情報を基に自賠責保険に加入します。
この2つのステップを完了して、初めて公道を走ることができます。
自賠責保険だけでは絶対に足りない!任意保険が必要な3つの理由
「義務である自賠責保険に入ったから、もう安心だね!」
そう思うのは、まだ早いのです。
実は、自賠責保険だけでは、万が一の事故の際に発生する損害をまったくカバーしきれないのが現実です。
ここでは、なぜ任意保険への加入が「強く推奨」ではなく「必須級」なのか、3つの具体的な理由を解説します。
理由1:自賠責保険は「相手のケガ」しか補償されない
最も重要なポイントです。
自賠責保険の補償対象は、事故を起こした相手方の身体的な損害(治療費や慰謝料など)のみです。
| 補償対象 | 自賠責保険 | 任意保険 |
|---|---|---|
| 相手のケガ・死亡(対人賠償) | ◯ (上限あり) | ◯ |
| 相手のモノ(車、壁など)の修理費(対物賠償) | ✕ | ◯ |
| 自分自身のケガの治療費(傷害保険) | ✕ | ◯ |
| 壊してしまった自分のキックボードの修理費 | ✕ | △ (車両保険) |
もし、あなたが電動キックボードで高級車にぶつかってしまったら?お店のガラスを割ってしまったら?その修理費用はすべて自己負担になってしまいます。
理由2:対人賠償の補償額が低すぎる
自賠責保険の対人賠償には、支払い上限額が定められています。
- 傷害による損害: 最高120万円
- 後遺障害による損害: 最高4,000万円
- 死亡による損害: 最高3,000万円
「数千万円もあれば十分では?」と感じるかもしれませんが、過去の自転車事故の判例では、約9,500万円という高額な賠償命令が出たケースもあります。
電動キックボードは自転車よりも速度が出やすいため、重大な事故につながるリスクは決して低くありません。
自賠責保険の上限を超える賠償金は、もちろん自己負担です。
理由3:「示談交渉」を自分でしなければならない

事故が起きた際、精神的にも肉体的にも大きな負担となるのが、相手方との示談交渉です。
任意保険に加入していれば、専門知識を持った保険会社の担当者が、あなたに代わって相手方との交渉を進めてくれます(示談交渉サービス)。
しかし、自賠責保険のみの場合、この交渉をすべて自分自身で行わなければなりません。
これは、非常に大きなストレスとなります。

なるほど…。自賠責保険は最低限のお守りで、それだけだと全然安心できないんですね。高額な賠償リスクを考えると、任意保険は絶対に入っておかないとダメですね。

その通りです!月々数百円から数千円の保険料を惜しんだために、人生を左右するような借金を背負うことになりかねません。では次に、数ある任意保険の中から、どうやって自分に合ったものを選べば良いのか、具体的なポイントを見ていきましょう。
【2025年最新】厳選!おすすめ電動キックボード任意保険

結局、どの保険に入ればいいの?自転車保険がダメなら、もうお手上げです…

ご安心ください!電動キックボード(特定小型原動機付自転車)は、「バイク保険」または自動車保険の「ファミリーバイク特約」で加入するのが現在の正解です。あなたの状況に合わせて、最適な方法を選びましょう。
自動車保険に加入中なら「ファミリーバイク特約」がベスト
もし、あなたが既に自動車保険に加入しているなら、その保険に「ファミリーバイク特約」を追加するのが最も手軽で経済的な方法です。
既存の契約に追加するだけで、電動キックボードでの万が一の事故に備えられます。
- メリット:
- 新規で契約するより保険料が割安な場合が多い
- 手続きが簡単で、保険の管理も一本化できる
- 契約者本人だけでなく、家族の運転も補償対象になる場合がある
- 対応している主な保険会社:
- アクサダイレクト
- 三井住友海上
- 東京海上日動
- 損保ジャパン

自分の入っている自動車保険に付けられるか、すぐに確認してみます!

はい!その際、「特定小型原動機付自転車に乗りたいのですが、ファミリーバイク特約の対象になりますか?」と明確に確認することが最も重要です。必ず確認してから利用してくださいね。


自動車保険未加入なら「バイク保険」に単独契約
自動車保険に加入していない方は、単体の「バイク保険」を契約することになります。
これは、特定小型原動機付自転車を「原動機付自転車」として、新規に保険契約する方法です。
- 保険料の目安:
年間2万円~4万円程度 - 対応している主な保険会社:
- アクサダイレクト
- 三井住友海上(「ネットde保険@ばいく」など)
- 東京海上日動
- 損保ジャパン


シェアリングサービスのみ利用するなら保険加入は不要
LUUP(ループ)などのシェアリングサービスのみを利用する場合は、利用料金の中に自賠責保険と充実した任意保険の料金が含まれているため、自分で新たに保険に加入する必要はありません。
- LUUPの補償内容(2025年10月現在):
- 対人賠償: 無制限
- 対物賠償: 無制限
- 自身のケガ: 死亡・後遺障害 2,000万円、入院日額 5,000円など

あなたに最適な保険は?利用シーン別・選び方のポイント

誰にとっても完璧な保険というものは存在しません。
あなたのライフスタイルや電動キックボードの利用頻度に合わせて、必要な補償を見極めることが重要です。
想定ユーザー1:通勤・通学で毎日乗るヘビーユーザー
毎日公道を走行する方は、事故に遭遇するリスクが相対的に高まります。
補償は手厚くしておくのが賢明です。
- 重視すべきポイント:
- 個人賠償責任: 2億円以上の高額プランがおすすめ。
- 示談交渉サービス: 必須。
- 自身のケガへの補償: 入院・通院補償が手厚いプランを選び、万が一働けなくなった場合にも備えましょう。
- 弁護士費用特約: もらい事故など、相手方に100%過失がある場合にも対応できるため、付けておくと安心です。
- おすすめ保険のタイプ: 楽天損保や三井住友海上の家族プランや手厚いプラン。
想定ユーザー2:週末のレジャーでたまに乗るライトユーザー
利用頻度が低いとはいえ、事故のリスクがゼロになるわけではありません。
最低限の備えは必須です。
- 重視すべきポイント:
- 個人賠償責任: 最低でも1億円は確保しましょう。
- 示談交渉サービス: 必須。事故対応に慣れていない方こそ、プロに任せるべきです。
- コストパフォーマンス: 自身のケガへの補償は最低限にするなど、メリハリをつけて保険料を抑えるのも選択肢です。
- おすすめ保険のタイプ: au損保のブロンズコースなど、保険料を抑えたプラン。
想定ユーザー3:家族みんなで利用するファミリー
自分だけでなく、配偶者や子供も電動キックボードや自転車に乗る場合は、家族全員が補償対象となるプランを選ばないと意味がありません。
- 重視すべきポイント:
- 補償の範囲: 「本人型」ではなく「家族型」のプランを選びましょう。保険証券に記載された被保険者の家族(同居の親族など)が補償対象になります。
- 個人賠償責任: 家族の誰かが高額賠償事故を起こす可能性を考え、3億円など、なるべく高額なプランを選びましょう。
- おすすめ保険のタイプ: 楽天損保や三井住友海上の家族プラン。1人ずつ加入するより、保険料が割安になります。
よくある質問(FAQ)
- Q電動キックボードの自賠責保険は、どこで加入できますか?
- A
ナンバープレートを取得した後、コンビニ(セブン-イレブン、ファミリーマートなど)のマルチコピー機や、損害保険会社のウェブサイトからオンラインで簡単に加入できます。
保険期間は1年~5年で選べ、長期契約ほど1年あたりの保険料は安くなります。
- Q自動車保険に入っていますが、特約でカバーできませんか?
- A
自動車保険に付帯している「個人賠償責任特約」でカバーできる場合があります。
ただし、この特約は「原動機を持たない乗り物」を対象としていることが多く、電動キックボード(特定小型原付)は対象外となる可能性が高いです。
必ずご自身の保険会社に、特定小型原付が補償対象に含まれるかを確認してください。
- Q保険に加入していれば、ヘルメットは着用しなくてもいいですか?
- A
いいえ、安全のためにヘルメットの着用を強く推奨します。
特定小型原付はヘルメットの着用が努力義務とされていますが、万が一の事故の際に頭部を守るために、必ず着用しましょう。
また、保険によってはヘルメット未着用時の事故で保険金が減額される可能性もゼロではありません。
- Q
- A
落ち着いて、以下の手順で行動してください。
- 負傷者の救護:
ケガ人がいる場合は、まず救急車(119番)を呼び、安全を確保します。
- 警察への連絡:
どんなに小さな事故でも、必ず警察(110番)に連絡します。これを怠ると、保険金の請求に必要な「交通事故証明書」が発行されません。
- 相手の情報の確認:
相手の氏名、住所、連絡先などを確認します。
- 保険会社への連絡:
ご自身が加入している保険会社に速やかに連絡し、指示を仰ぎましょう。
まとめ:正しい保険知識が、あなたの未来を守る
電動キックボードは、私たちの移動をより自由で楽しいものにしてくれる素晴らしい乗り物です。
しかし、その楽しさは、安全という土台があってこそ成り立ちます。
この記事でお伝えしたかった、最も重要なポイントを最後にもう一度確認しましょう。
- 自賠責保険は法律上の義務。未加入は絶対にNG!
- 自賠責保険だけでは不十分。対物賠償や高額な対人賠償に備えるため、任意保険も必須!
- 任意保険は、自分の利用シーンに合わせて、必要な補償を過不足なく選ぶことが大切。
月々わずか数百円の投資で、数千万円、時には1億円を超えるかもしれない賠償リスクからあなた自身と大切な家族を守ることができます。
この記事を参考に、あなたに最適な保険を見つけ、法令を遵守し、安全運転を心がけることで、心から電動キックボードのある生活を楽しんでください。


