2023年7月の法改正で「特定小型原動機付自転車(特定原付)」という新しいルールが始まり、電動キックボードは私たちの移動をより身近なものにしました。
16歳以上なら免許不要で乗れる手軽さから、利用者は急速に増えています。
しかし、その手軽さとは裏腹に、操作方法や交通ルールを正しく理解していないと、重大な事故につながる危険性も潜んでいます。

電動キックボードって、自転車みたいに乗ればいいんでしょ? なんだか難しそう…。

それが一番危険な誤解なんです! 自転車ともバイクとも違う、電動キックボード特有の「安全な乗り方」があります。この記事は、電動キックボード専門ブログ「ekick-lab」を運営する私エキマルが、初心者の方が安全に公道デビューできるよう、基本操作から事故を防ぐ運転のコツまで、すべてを網羅した完全ガイドです。
警察庁の発表(2024年10月)によると、新ルール施行後の1年間(2023年7月~2024年6月)で、特定原付が関連する交通事故は219件(負傷者226人)発生しています。
手軽だからこそ、最初の「乗り方」が肝心です。
この記事を最後まで読めば、あなたも自信を持って安全に電動キックボードを乗りこなせるようになります。
この記事でわかること
- 乗る前に絶対に確認すべき準備と法律(2025年最新版)
- 電源オンから停車までの正しい基本操作
- 事故を防ぐための具体的な運転テクニック(危険予測)
- 安全に乗りやすいおすすめモデル(楽天レビュー付き)
乗る前の絶対条件! 準備と法令知識(2025年10月最新版)

公道を走る前に、まずは「ルール」と「準備」を完璧にしましょう。
2024年12月22日をもって法改正の経過措置が終了し、現在(2025年10月)はすべての特定原付が新しい保安基準を満たしている必要があります。
必須:特定原付のルールをおさらい
特定原付とは、以下の基準をすべて満たす車両です。
- 最高速度: 20km/h以下
- 定格出力: 0.6kW以下
- 車体の大きさ: 長さ190cm以下、幅60cm以下
- 保安部品: 前照灯、尾灯、ブレーキランプ、最高速度表示灯(緑色のランプ)などを装備
走行モードについて
特定原付には2つのモードがあります。
- 車道モード(最高20km/h): 緑色の最高速度表示灯が点灯。
- 歩道モード(最高6km/h): 緑色の最高速度表示灯が点滅。
歩道モード(特例特定原付)は、走行が許可された一部の歩道のみを、歩行者最優先で走行するためのものです。
必須:「自賠責保険」と「ナンバープレート」
電動キックボードは「自転車」ではなく「車両」です。
公道を走るには、この2つが絶対に必要です。
- 自賠責保険(共済)への加入(義務)
万が一の対人事故に備えるための強制保険です。未加入での運転は法律違反(1年以下の懲役または50万円以下の罰金)となります。
- ナンバープレートの取得・装着(義務)
お住まいの市区町村の役所で、無料で交付してもらえます。

え!ナンバープレートって絶対いるの?

はい、必須です! これがないと公道を走れません。コンビニなどで手軽に加入できる自賠責保険のステッカーも、ナンバープレートに貼り付けましょう。
安全のための準備:「ヘルメット」
特定原付のルールでは、ヘルメットの着用は「努力義務」とされています。
つまり、着用しなくても罰則はありません。
しかし、私たちは着用を「強く推奨」します。
事故統計では、死亡事故の多くが頭部の損傷によるものです。
電動キックボードは自転車よりも車輪が小さく、わずかな段差でもバランスを崩しやすい乗り物です。
万が一の転倒時に命を守るため、必ずヘルメットを着用しましょう。
運転前チェックリスト(最重要)

乗る直前に必ず確認する習慣をつけましょう。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| バッテリー | 十分な残量があるか。 |
| ブレーキ | 前後輪のブレーキレバーを握り、正常に作動するか。 |
| タイヤ | 空気圧は適切か(エアタイヤの場合)、傷や亀裂、異物が刺さってないか。 |
| ライト類 | 前照灯、尾灯、ブレーキランプが点灯するか。 |
| 方向指示器(ウィンカー) | 前後左右、正常に点滅するか。 |
| 最高速度表示灯 | 緑色のランプが正常に「点灯」または「点滅」するか。(2025年現在、必須装備です) |
| ハンドル・ネジ類 | ハンドルや折りたたみ部分にガタつき、ネジの緩みはないか。 |
| ナンバープレート | 汚れたり曲がったりせず、しっかり固定されているか。 |
完全ガイド! 電動キックボードの基本操作(乗り方)

いよいよ実践です。
初めて乗る際は、必ず公園や私有地など、安全で広い場所で練習してください。
電源ONと走行姿勢
- 電源ON:
ボードの電源ボタンを押して起動します。 - 足を乗せる:
まず、利き足をボード(デッキ)の前方に乗せます。もう片方の足は地面につけておきます。 - 走行姿勢:
両足を乗せたら、足は前後に開く(サーフィンのようなスタンス)か、肩幅程度に横に開きます。膝を軽く曲げ、リラックスしてハンドルを握ります。目線はスマートフォンの画面ではなく、進行方向の10~15m先を見るようにしましょう。
発進:スムーズな加速(キックスターター)


アクセルを押してるのに、全然進まない! 故障?

故障ではありません! ほとんどの電動キックボードは、安全のために「キックスターター方式」を採用しています。
キックスターター方式とは?
アクセルを操作しても、最初はモーターが作動しません。
- 地面に残っている足で、地面を2〜3回蹴り、時速3〜5km程度の助走をつけます。
- 助走がついた状態で、ゆっくりとアクセルレバー(通常は右手の親指や人差し指で操作)を押します。
- モーターが作動し始めたら、蹴った足をボードの後方に乗せます。
急な飛び出しを防ぐための安全機能です。
急アクセルはバランスを崩す原因になるため、アクセルは「じわっ」と押すことを意識してください。
走行:安定と安全確保
走行中は、とにかく「安定」が命です。
- 視線は遠くへ:
足元や前輪ばかり見ていると、ふらつきやすくなります。 - 膝のクッション:
膝を軽く曲げ、路面からの細かな振動を吸収します。 - ハンドル操作:
ハンドルに体重をかけすぎず、軽く握ります。力みすぎは逆効果です。
減速と停車:回生ブレーキの活用
電動キックボードのブレーキは、主に3種類あります。
- 回生ブレーキ:
アクセルレバーを離すと自動的にかかる、モーターによる緩やかなブレーキです。 - 物理ブレーキ(後輪):
通常、左手のブレーキレバー。 - 物理ブレーキ(前輪):
通常、右手のブレーキレバー。(※モデルによります)
安全な停まり方:
- 停止したい場所の手前で、早めにアクセルを離し、回生ブレーキで減速します。
- 左手(後輪)のブレーキレバーを先に握り、速度を落とします。
- 最後に右手(前輪)のブレーキも使い、両方のブレーキで「スーッ」と滑らかに停止します。
注意!
急ブレーキ(特に前輪だけ)は、前方に転倒(ジャックナイフ)する危険があり非常に危険です。
必ず後輪ブレーキから先に、前後バランス良く使用してください。
走行モード:速度調整のコツ
- 車道モード(20km/h):
車の流れに乗る必要がある場合に使用します。
- 歩道モード(6km/h):
走行が許可された歩道を通行する場合(緑ランプ点滅)や、人混みの多い路地、駐車場内など、徐行が必要な場面で積極的に活用しましょう。
モード切り替えは、多くのモデルで停止中、または低速走行中に行います。
走行中に慌てて操作しなくて済むよう、事前に操作方法を確認しておきましょう。
事故を防ぐ! 上級セーフティテクニック(運転のコツ)

基本操作をマスターしたら、次は公道で事故に遭わないための「コツ」です。
バランス:立ち乗り姿勢の極意
電動キックボードは重心が高い乗り物です。
- かかと重心を意識:
つま先重心になると前傾姿勢になりすぎ、急ブレーキで転倒しやすくなります。ボードの中央からやや後ろ(かかと側)に重心を置くと安定します。
- 段差の乗り越え:
段差に対して必ず直角に入ります。斜めに入るとハンドルを取られて転倒します。乗り越える瞬間に軽く膝を曲げ、衝撃を吸収します。

カーブ:重心移動と「絶対減速」
カーブで転倒するケースは非常に多いです。
- 手前で十分すぎるほど減速:
カーブに入ってからブレーキをかけるのは危険です。必ず直線部分でアクセルを戻し、ブレーキで速度を落とします。 - 重心移動(リーンウィズ):
バイクのように車体を倒す(リーンイン)のではなく、自転車のように自分と車体を一緒に傾ける(リーンウィズ)イメージで曲がります。
危険予測:これが一番大事!

公道は「危険な場所」の宝庫です。
以下の場所は特に注意してください。
- マンホールの蓋、白線、グレーチング(側溝の蓋):
これらは雨の日でなくても非常に滑りやすいです。特にカーブ中にこれらを通過すると、ほぼ確実にスリップします。できるだけ避けて通るか、通過時はアクセルを戻し、ブレーキをかけず、まっすぐ通過してください。
- 駐車車両の「影」:
止まっている車の横をすり抜ける際、車の前から突然人が飛び出してくる(「鬼飛び出し」)ことを常に予測してください。
- 左折・右折する車の「死角」:
あなたは車から見えていない前提で運転してください。特に交差点では、左折する車に巻き込まれないよう、車の側面に並ばないこと。
交通ルール実践編
- 走行場所:
原則は「車道の左端」です。「自転車専用通行帯(自転車レーン)」も走行可能です。 - 歩道走行(特例特定原付モード):
- 「普通自転車等及び歩行者等専用」の標識がある歩道のみ走行可能です。
- 最高速度6km/hモードにし、緑ランプを点滅させます。
- 歩行者が最優先です。歩行者の邪魔になる場合は一時停止しなければなりません。
【超重要】特定原付は「すべての交差点で二段階右折」
これが原付バイク(50cc)と根本的に違う点です。
原付バイクは「3車線以上」などの条件がありますが、特定原付は車線数に関係なく、すべての交差点で二段階右折が義務付けられています。
二段階右折のやり方:
- 右折したい交差点が近づいたら、右のウィンカーを出します。
- 車道の左端に寄ったまま、交差点をまっすぐ直進します。
- 交差点を渡り切った先で停止し、ウィンカーを消します。
- 車体の向きを右(進みたい方向)に変え、正面の信号が青になるのを待ちます。
- 信号が青になったら直進します。
安全に乗りやすい! おすすめ特定原付モデル(楽天レビュー付き)
乗り方がわかったら、次は「どの車体を選ぶか」です。
安全に直結するため、初心者は特に「安定性」と「安全機能」で選ぶことをおすすめします。
信頼性と先進の安全性:Segway-Ninebot D-AIR D-28J2
製品説明
ブランドの信頼性が光る、安全性とデザイン性を両立したモデル。
パンクの心配がない10インチの高弾力タイヤを採用。
ブレーキは後輪に電子ブレーキ(E-ABS)、前輪にドラムブレーキを搭載し、高い制動力を誇ります。
専用アプリと連携し、本体のロックや走行データの管理も可能です。
メリット
- 高い安全性:
E-ABSとドラムブレーキの組み合わせで、安定した制動が可能です。
- パンクレスタイヤ:
「ノーホール技術」を採用したタイヤは、空気入れの手間やパンクのリスクがなく、初心者でも安心です。
- ブランドの信頼性:
世界的なブランドであり、品質やアフターサポートへの安心感があります。
デメリット
- 価格が他のモデルと比較して高めになる傾向があります。
- (2025年10月現在、楽天市場でのレビュー件数が少なく、ユーザーの生の声が集まりにくい場合があります。)
想定ユーザー像
- 安全性とブランドの信頼性を最重要視する人。
- パンクなどのメンテナンスの手間を最小限にしたい人。
- スマートフォンアプリで走行管理などをスマートに行いたい人。
快適な2WAY走行:COSWHEEL MIRAI T Lite
製品説明
人気モデル「MIRAI T」の特定小型原付モデルが「MIRAI T Lite」です。
500Wのハイパワーモーターを搭載し、坂道にも強いのが特徴。
最大の魅力は「サドル(椅子)」が標準装備(またはオプションで装着可能)で、立ち乗り・座り乗りの2WAY走行が可能な点です。
バッテリーが着脱式のため、車体ごと屋内に持ち込まずにバッテリーだけを充電できます。
前後サスペンションと10インチタイヤを装備し、安定した乗り心地を提供します。
実際のレビュー(楽天市場より引用)
- ポジティブ:
「商品の口コミが1件も無かったので少し不安でしたが問題ありませんでした。モーター出力500w、防水、タイヤ10インチ」「概ね満足です。」
- ネガティブ(懸念点):
「極度に激しい雨や、人為的に水をかける行為で内部の電気回路が濡れた場合、あるいは道路が冠水した場合には故障する可能性があります。」
メリット
- 2WAY走行:
サドルがあるため、自転車感覚で座って乗れ、長距離移動や信号待ちが非常に楽です。
- パワフル:
500Wモーターで坂道でも力強く登ります。 - 着脱式バッテリー:
充電の利便性が非常に高いです。
- 安定性:
前後サスペンションと10インチタイヤで、路面からの衝撃を和らげます。
デメリット
- 車体重量が約22kgあり、持ち運びには重いです。
- レビューにもある通り、IP65相当の防水性能はありますが、大雨の中での長時間の使用や放置は故障のリスクがあります。
想定ユーザー像
- 立ち乗りでのバランスに不安がある人。
- 自宅(マンションなど)と駐輪場が離れており、バッテリーだけ充電したい人。
- 走行ルートに坂道が多い人。
安定性重視の大型タイヤ:Sun Emperor SS1
製品説明
一般的な10インチタイヤよりも大きい12インチの大型タイヤを装備し、走行時の安定性を高めた特定原付モデルです。
サドル(椅子)も標準で装備(またはオプションで選択可)しており、立ち乗り・座り乗りの両方に対応します。
重心が低く設計されているため、初心者や立ち乗りに不安がある方でも安心して乗車できます。
実際のレビュー(楽天市場より引用)
- ポジティブ:
「立ち乗りではなく座って乗れるので楽に乗れるのと、タイヤが大きく安定感があります。」「組み立てがとても簡単ですぐに乗れる状態になりました。見た目もシンプルでマット調で素敵です。」「ライトも明るくて夜でも安心。」
- ネガティブ(懸念点):
(「Sun Emperor Easy」モデルのレビューより類推)「本体重量がある為か、登坂力があまり強くないのでルートは重要です。」「部品の取り付けネジがちゃんと閉まって無かったのが残念、手で回るネジも有りました!」
メリット
- 抜群の安定性:
12インチの大型タイヤと低重心設計により、段差や路面の凹凸に強く、ふらつきを大幅に軽減します。
- 快適な乗車姿勢:
サドル付きで、自転車のように座って楽な姿勢で運転が可能です。
- 簡単な組み立て:
レビューによれば、ハンドルの固定など簡単な作業ですぐに乗れる状態になるようです。
デメリット
- 登坂性能:
体重や坂の勾配によっては、パワー不足を感じる可能性があります。平坦な道での利用が中心の方に向いています。
- 初期点検の必要性:
一部のレビューでネジの緩みが指摘されており、乗車前のセルフチェック(増し締め)が推奨されます。
想定ユーザー像
- とにかく安定感を最優先し、ふらつきを最小限にしたい人。
- 立ち乗りではなく、座って楽に移動したい人。
- 自宅周辺が比較的平坦なルートがメインの人。
よくある質問(FAQ)

乗る前に、まだちょっと不安なことが…。

お任せください! 初心者の方が抱きがちな疑問にお答えします。
- Q練習する場所はどこがおすすめですか?
- A
公道は絶対にNGです。
まずは「私有地(自宅の庭や駐車場など)」や、「公園(管理者に許可されている場合)」など、車や歩行者がいない安全で広い場所で練習してください。
- Q電動キックボードで公道を走る際に必要なものは?
- A
以下の3点です。
- 保安基準を満たした特定原付の車体
- ナンバープレートの装着
- 自賠責保険への加入
(16歳以上であれば運転免許は不要、ヘルメットは努力義務です)
- Q走行中にバッテリーが切れたらどうすればいいですか?
- A
電源を切り、手で押して歩いてください。
この状態では「歩行者」扱いとなります。
ただし、交通の妨げにならないよう速やかに移動してください。
そうならないためにも、乗る前のバッテリー残量チェックは必須です。
- Q二段階右折って、T字路でも必要なの?
- A
はい、必要です。
道路交通法上、特定原付は「すべての交差点」で二段階右折が義務付けられています。
T字路であっても、右折する場合は二段階右折(一度直進して渡り、向きを変えて待つ)を行ってください。
- Q定期的なメンテナンスは何をすれば良いですか?
- A
最低でも以下の3点は定期的に確認しましょう。
- タイヤのチェック:
空気圧(エアタイヤの場合)や、溝の減り、亀裂がないか。 - ブレーキの効き:
ブレーキレバーの遊びが大きすぎないか、しっかり効くか。 - ネジの増し締め:
走行の振動でネジは緩みます。特に折りたたみ部分やハンドルポストは、定期的に緩みがないか確認し、必要なら締め直してください。
まとめ:安全ルールを守って、快適な移動を手に入れよう
電動キックボードは、正しく乗れば非常に便利で楽しいモビリティです。
しかし、その手軽さの裏には、自転車やバイクとは異なる特有のリスクが伴います。
- 乗る前:
「自賠責・ナンバー」「保安部品(最高速度表示灯)」「ヘルメット」の準備は完璧に。
- 乗る時:
「キックスターター発進」「早めのブレーキ」「滑りやすい路面(マンホール・白線)」を常に意識。
- ルール:
「すべての交差点で二段階右折」を絶対に忘れない。
この記事で解説した「安全な乗り方」と「危険予測」をマスターすることが、あなた自身と周りの人を事故から守る一番の方法です。
ルールを守って、安全で快適な電動キックボードライフをスタートさせましょう!



