
結論から言うと、どちらも正しく使えば安全です
近年、モペット(ペダル付き原動機付自転車)や電動キックボードの事故が増加していますが、これは乗り物自体の危険性そのものではなく、利用者の交通ルールに対する理解不足が主な原因です。
どちらの乗り物も、法律を守って正しく利用すれば、非常に便利で安全な移動手段となります。

最近よく見る「モペット」って、見た目は自転車ですけど何が違うんですか?免許がいるって本当ですか?

その通りなんです。モペットは見た目が自転車に似ているため誤解されやすいのですが、法律上は原動機付自転車(原付バイク)と同じ扱いです。つまり、運転免許、ナンバープレートの装着、自賠責保険への加入、そしてヘルメットの着用がすべて義務付けられています。
モペットとは?電動キックボードとの決定的な違い

モペットの正確な定義
モペット(MOPED)は、モーター(MOTOR)とペダル(PEDAL)を組み合わせた造語です。
ペダルを漕がなくても、モーターの力だけで走行できる機能を持っています。
この「アクセル付き」という点が、電動アシスト自転車との大きな違いです。
法律上は「一般原動機付自転車」以上に分類され、原付バイクと同じ交通ルールが適用されます。
出典:警視庁
電動キックボードとモペットの違い一覧表
項目 | モペット(ペダル付き原付) | 電動キックボード(特定小型原付) |
---|---|---|
外観 | 自転車に似ている、ペダル付き | キックボード型、ペダルなし |
法的分類 | 原動機付自転車(原付) | 特定小型原動機付自転車 |
最高速度 | 時速30km ※1 | 時速20km |
運転免許 | 必要(原付免許以上) | 不要(16歳以上) |
ナンバープレート | 必要 | 必要 |
自賠責保険 | 必要 | 必要 |
ヘルメット着用 | 義務 | 努力義務 |
歩道走行 | 禁止 | 時速6kmモードで可能 |
※1:原付一種の場合 |
出典:警視庁

なるほど!つまりモペットの方がより「バイク寄り」で、電動キックボードの方が手軽に乗れるけど、それでも一定のルールがある、ということですね。

その通りです!モペットは完全に原付バイクと同じルール。電動キックボードは免許不要ですが、ナンバープレートや保険は必要で、守るべきルールがある、という位置づけです。
なぜ事故が増加しているのか?統計データで見る現状

モペット事故の増加傾向
「自転車感覚」で乗れるという誤解から、無免許運転や信号無視などの違反が後を絶たず、交通事故も増加しています。
警視庁によると、2023年には都内だけで113件のモペットが関連する交通事故が発生しました。
全国的にも取り締まり件数は増加傾向にあり、警察が警戒を強めています。
電動キックボード事故の統計
2023年7月の法改正で新たな交通ルールが適用されて以降も、残念ながら事故は発生しています。
警察庁の発表によると、法改正後の1年間(2023年7月~2024年6月)で、全国で219件の電動キックボード関連の交通事故が発生し、226人が負傷しました。
事故増加の根本原因:認識不足が招く危険

事故の多くは、利用者の誤解や知識不足から生まれています。
- 「自転車だと思った」という誤解:
外観から電動アシスト自転車と混同し、免許なし・無保険・ノーヘルで運転してしまう。 - 「自転車感覚」での運転:
車道を走る乗り物としての自覚が薄く、一時不停止や信号無視、歩道走行などの危険な運転をしてしまう。 - ヘルメットの軽視:
特に電動キックボードではヘルメットが努力義務であるためか、着用していない利用者が多く見られます。転倒時の頭部損傷リスクが非常に高く、大きな問題となっています。

乗り物そのものが悪いというより、使う人の意識の問題が大きいんですね。

まさにその通りです。どちらも正しく使えば安全性の高い乗り物ですが、法的な義務を理解せずに「自転車感覚」で使ってしまうことで、悲しい事故が起きてしまうのです。
2024年11月1日に施行された法改正で何が変わった?
2024年11月1日に施行された改正道路交通法では、モペットの扱いがより明確になりました。
この改正により、たとえモーターを切ってペダルだけで走行している場合でも「運転」と見なされ、原付バイクの交通ルールを守らなければならないことが明文化されました。
これにより、これまで「ペダルモードなら自転車」といった解釈ができた「グレーゾーン」がなくなり、モペットはどのような使い方をしても原付バイクとして扱われることが徹底されました。
それぞれのメリット・デメリット徹底比較
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
モペット | ・最高速度30kmで移動がスムーズ ・原付より軽量 ・コンパクトなモデルが多い ・バッテリー切れでもペダルで 走行可能 ・経済的で維持費が安い | ・運転免許が必要 ・ナンバープレート取得の手間が かかる ・自賠責保険、ヘルメットが義務 ・歩道は走行できない |
電動キックボード | ・16歳以上なら運転免許不要 ・コンパクトで折り畳み可能な モデルが多い ・時速6km以下なら一部の歩道も 走行可能 ・ラストワンマイルの移動に最適 | ・最高速度20kmで長距離には 不向き ・立ち乗りなので疲れやすい ・タイヤが小さく路面の影響を 受けやすい ・バッテリーが切れるとただの重い 板になる |

どっちも一長一短ですね。自分の使い方に合わせるのが大事なんだ。

そうですね!免許の有無や移動距離、使い方を考えて選ぶことが大切です。
【簡単診断】あなたに向いているのはどっち?
モペットに向いている人
- 原付免許以上を持っている
- 通勤・通学で毎日5km以上など、ある程度の距離を移動する
- 駐車場の確保が難しい都市部に住んでいる
- バッテリー切れの際もペダルで移動できる安心感が欲しい
電動キックボードに向いている人
- 16歳以上で運転免許を持っていない
- 駅から職場・学校など、短距離の「あとちょっと」を楽にしたい
- 折り畳んで電車に持ち込んだり、オフィスに置きたい
- 免許取得の手間やコストをかけたくない
安全に利用するための重要ポイント
モペット利用時の【必須事項】
- 運転免許証の取得・携帯
- ナンバープレートの取得・装着
- 自賠責保険への加入
- ヘルメットの着用
- ライト、ミラー、ウィンカー等の保安部品の装備
- 車道走行の徹底
電動キックボード利用時の【遵守事項】
- ヘルメットの着用(努力義務ですが、命を守るため強く推奨)
- 走行前の車体点検(ブレーキ、バッテリーなど)
- ナンバープレートの装着と自賠責保険への加入
- 交通ルールの厳守(飲酒運転、二人乗りは禁止)
- 天候が悪い日の運転は控える
よくある質問(FAQ)
- Qモペットと電動アシスト自転車はどう見分けるの?
- A
最も簡単な見分け方は「アクセル(スロットル)があるかどうか」です。
モペットにはハンドルにアクセルが付いており、ペダルを漕がなくても進めます。
電動アシスト自転車にはアクセルがなく、必ずペダルを漕ぐ力にアシストが加わる仕組みです。
- Q電動キックボードのヘルメットは本当に必要?
- A
はい、安全のため強く推奨します。
法的には努力義務ですが、万が一の事故の際、ヘルメットは頭部への致命的なダメージを軽減する最も有効な手段です。
警察庁の調査では、自転車事故においてヘルメット非着用の場合の致死率は、着用時と比較して約2.1倍高くなると報告されており、この危険性は電動キックボードにも当てはまります。
- Q結局、どちらがより危険なんですか?
- A
危険性の種類が異なります。
モペットは速度が出る分、衝突時の被害が大きくなる可能性があります。
一方、電動キックボードは立ち乗りで重心が高く、タイヤも小さいため、段差や路面の凹凸でバランスを崩しやすく、転倒のリスクが高いと言えます。
- Q保険は必要?
- A
はい、どちらも必要です。
モペットは自賠責保険が法律で義務付けられています。
電動キックボードも同様に自賠責保険への加入が義務です。
万が一の対人事故に備え、任意保険への加入も検討しましょう。
- Q雨の日も運転できる?
- A
法的には可能ですが、どちらも推奨されません。
雨天時は路面が滑りやすく、ブレーキの効きも悪くなるため危険が伴います。
特に電動キックボードはタイヤが小さく、スリップしやすいので運転は避けましょう。

よく分かりました。結局、安全に使うにはどちらも「自転車感覚」じゃダメってことですね。

その通りです!それぞれに定められたルールと義務を正しく理解し、守ることが何よりも大切です。そうすれば、どちらも私たちの生活を豊かにしてくれる、便利で楽しい乗り物になりますよ。
まとめ:正しい理解と利用が安全の鍵
モペットも電動キックボードも、新しい時代のエコな移動手段として大きな可能性を秘めています。
事故の増加は、これらの乗り物が持つ本来の危険性ではなく、私たちの知識不足や意識の問題に起因しています。
安全利用のための3つの基本原則
- 法的要件の完全な理解と遵守(免許、ナンバー、保険)
- 適切な安全装備の着用(特にヘルメット)
- 常に「車を運転している」という安全意識を持つこと
新しいモビリティを取り入れる際は、まず正しい知識を身につけることから始めましょう。
それが、自分と周りの人の安全を守る第一歩です。