
電動キックボードって免許がいらないって聞いたけど、本当に安全なの?

確かに免許は不要になりましたが、ルールが浸透しておらず、多くの問題が発生しているのが現実です。今日は良い部分だけでなく、公式データに基づいた現実と、安全に乗るための必須知識を解説しますね。
2023年7月1日の道路交通法改正により、電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」として位置づけられ、16歳以上であれば免許不要で利用可能になりました。
しかし、この手軽さの裏で、交通違反や事故が急増しています。
電動キックボードとは?新しいルールを理解しよう

特定小型原動機付自転車として公道を走るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 最高速度: 20km/h以下
- 車体サイズ: 長さ190cm以下、幅60cm以下
- 定格出力: 0.60kW以下
- 年齢制限: 16歳以上
- 免許: 不要
- ヘルメット: 努力義務(ただし命を守るため着用を強く推奨)
- ナンバープレート: 必須
- 自賠責保険: 加入必須
走行可能な場所

- 車道(原則)
道路の左側を通行します。 - 自転車道
- 路側帯
- 歩道(特例モード時のみ)
最高速度を6km/hに設定し、識別灯(緑色の点滅灯)を点灯させている場合のみ、例外的に走行が許可されます。

それなら便利そうだけど、具体的にどんな問題が起きているの?

そこが最も重要なポイントです。警察庁が発表した2024年の公式データを見てみましょう。
2024年の公式統計データに見る厳しい現実

警察庁の公式発表によると、法改正後の電動キックボード(特定小型原付)の利用実態は、決して楽観視できるものではありません。
- 違反検挙数(2024年): 約3万5,000件
- 自転車の年間検挙数と比較しても、利用者数を考えれば極めて高い割合です。
- 交通事故件数(2024年): 190件(うち死亡事故2件、負傷者198人)
- 便利な乗り物である一方、一歩間違えれば命に関わる重大な事故に繋がることを示しています。
- 主な違反内容:
- 通行区分違反(約58%): 歩道を走行したり、道路の右側を逆走したりするケースが後を絶ちません。
- 信号無視(約22%): 最も基本的な交通ルールが守られていません。
- その他、飲酒運転や二人乗りといった悪質な違反による事故も報告されています。
実際のユーザーレビューから見える光と影

大手通販サイトのレビューを見ると、利用者の本音が垣間見えます。
- ポジティブな意見:
- 「坂道もパワフルに登り、走行性能は満足。通勤が楽になった」
- 「組み立ても簡単ですぐに乗れた。ちょっとした移動に最適」
- ネガティブな意見:
- 「歩道モード(6km/h)は遅すぎてバランスが取りにくく、かえって危ない。歩いたほうがマシ」
- 「購入して1ヶ月で動かなくなった。安価なモデルは品質に不安がある」
引用:楽天

このように、手軽さや走行性能を評価する声がある一方、「歩道モードの実用性の低さ」や「製品自体の品質・耐久性」に疑問を呈する意見も少なくありません。利便性の裏にあるリスクを理解することが重要です。

メリットとデメリットを整理して教えて!

もちろんです。購入を検討している方は、両方をしっかり比較してください。
メリット・デメリットの詳細分析

分類 | メリット (Merits) | デメリット (Demerits) |
手軽さ・利便性 (Ease of Use & Convenience) | ・免許不要で16歳から乗れる ・折りたたみ可能で持ち運びしやすい | ・歩道モードは速度が遅く非実用的 ・雨天時の走行は危険(製品による) |
経済性 (Economy) | ・充電1回あたり約10円と安価 ・ガソリン代や税金がかからず維持費が低い | ・専用の駐輪場が少なく、置き場所に困る ・盗難のリスクが高い |
安全性 (Safety) | ・タイヤが小さく、段差や悪路で転倒しやすい ・ヘルメット着用が努力義務に留まっている | |
環境性・デザイン (Environment & Design) | ・走行中にCO₂を排出しない ・走行音が静か ・デザイン性が高く、おしゃれ |
社会問題化する違法駐車・駐輪

電動キックボードは法律上「特定小型原動機付自転車」です。
そのため、自転車用の駐輪場には停められず、歩道や車道脇に停めれば駐車違反となります。
- 駐車できる場所:
- バイク用駐車場(有料が多い)
- 一部の許可された駐輪場
- 自宅敷地内など私有地
- 駐車できない場所:
- 一般的な自転車駐輪場
- 歩道上、道路脇(放置すれば取締りの対象)

安全に使うにはどうしたらいい?

絶対に守るべきルールと、持つべきマナーがあります。
安全運転のための必須ルール&推奨マナー

法的要件(必須)
- ナンバープレートの取得
市区町村で必ず登録し、取り付ける。 - 自賠責保険の加入
未加入での運転は法律違反です。 - 交通ルールの遵守
車道左側通行、信号遵守、一時停止を徹底する。 - 飲酒運転・二人乗りは絶対禁止
安全装備・推奨マナー
- ヘルメットの着用
努力義務ですが、命を守るために強く推奨します。 - 任意保険の加入
対人・対物事故に備え、加入を検討しましょう。 - 歩行者優先の徹底
歩行者のそばではいつでも止まれる速度で運転する。 - 定期的なメンテナンス
ブレーキやタイヤの空気を定期的にチェックする。
FAQ(よくある質問)
- Q雨の日でも使えますか?
- A
法的には可能ですが、タイヤが滑りやすくブレーキ性能も著しく低下するため、非常に危険です。
利用は避けるべきです。
- Q購入時の注意点は?
- A
公道走行可能な「特定小型原動機付自転車」の基準を満たした製品か必ず確認してください。
性能等証明シールなどが目印です。
基準を満たさない製品は原付バイク扱いとなり、免許やヘルメット着用義務が生じます。
- QLUUPなどのシェアサービスと個人所有の違いは?
- A
シェアサービスは事業者が安全対策(速度制限、走行エリア制限、ルールテストなど)を講じていますが、個人所有の場合はすべての安全管理が自己責任となります。
出典:LUUP
まとめ:正しい知識で責任ある利用を
電動キックボードは、都市の移動をスムーズにする大きな可能性を秘めています。
しかし、2024年の公式データが示すように、ルール無視が横行し、危険な乗り物となっている側面も否定できません。
- 違反検挙 約3万5,000件、交通事故 190件という数字を重く受け止める必要があります。
- 利用する際は、「免許が要らない手軽な乗り物」ではなく「法律でルールが定められた車両」であることを強く認識してください。
法的要件の遵守、安全装備の着用、そして周囲への配慮。
これらを守れる責任感のある人だけが、電動キックボードの真の利便性を享受できるのです。